三重県認可の専門学校 厚生労働大臣指定の養成施設

伊勢リハ☆ブログ

身体と防災2

体のことを聞きました
「身体と防災」の続きです。


―理学療法士として、避難時にこれだけは注意してもらいたいという注意点はありますか?

チーム医療推進協議会が2011年の東日本大震災を契機に各医療職の役割を示しています。その中で理学療法士協会から災害前にしておいてほしいことが示されています。

1.生活不活発病の予防
生活不活発病は被災などの影響で、日常生活ができなくなったことにより発生するもので、今 までの活動量を確保することで予防できます。

2.生活不活発病の原因となる、生活環境や心理的影響
生活環境が激変し、動きづらい環境や動きたくない心理が働きます。行動範囲が狭くなることによって、生活不活発病が発生します。「動ける環境」と「動く動機」を持つことが大切です。

3.生活不活発病は早期発見が重要
生活不活発病は突然発生するのではなく、徐々に生活能力の低下をもたらす病気です。そのため本人や家族ですら気が付かないことが多くあります。まずは自分の現状を確認することが重要です。「少し立ち上がりが難しくなった」「歩くときに少しふらつく」「少し歩いただけで息が上がる」などはその初期的な症状と言えます。

4.生活不活発病は早期対応が必要
生活不活発病は、寝たきりへの第一歩と認識すべきです。何らかの症状があれば、理学療法士などの専門家による運動メニューを日々続けることが大切です。早期に対応すれば、早く回復することができます。

5.運動不足の回復には約5倍の運動期間が必要
例えば、1カ月の無用な安静によって体力が落ち込むと、回復させるためには約5カ月の運動が必要です。できる限り、安静期間を短くすることが大切です。

6.適切な移動補助具(杖・シルバーカーなど)を活用
理学療法士などの専門家の指導により、適切に移動補助具を活用することで、移動の安全性が向上します。


―では最後にひとことお願いします。

避難する際は人命優先で、自治体の職員や消防、警察等の指示に従っていただきたいと思います。
また、自主的に避難される場合についても、経路などの確認は事前に必要であると思われます。
同居されている方で身体の不自由な方がいらっしゃるようでしたら、
その方が普段移動するときに使われている杖や車椅子等も必要です。
また、避難する際には避難グッズを持つなどして避難されるケースがあると思われます。
避難グッズを持って坂道や階段などを歩くことができるかなど事前に把握しておく必要もあると思います。

―ありがとうございます。



参考文献:
「基礎運動学 第6版 補訂」 中村 隆一著
「臨床 歩行分析ワークブック」 武田 功著
「災害時におけるメディカルスタッフの役割 ハンドブック」 チーム医療推進協議会