三重県認可の専門学校 厚生労働大臣指定の養成施設

伊勢リハ☆ブログ

災害と理学療法

体のことを聞きました
お待たせしまた!櫻本先生に聞く体シリーズです。
前回は防災に関するお話をうかがいましたが、今回は災害後について尋ねました。


ー大規模災害発生後、医師や看護師がDMAT(災害派遣医療チーム)として
被災地に派遣されるのは割と知られていると思うのですが、
そこに理学療法士が入っていることもあるのですか?


今年は豪雨、台風、地震による災害が立て続けに起こっていますね。
被災された方に心よりお見舞い申し上げます。

さて、大規模災害等でDMAT(災害派遣医療チーム)が被災地に派遣されますが、
1つのチームは、医師1名、看護師2名、業務調整員1名以上で構成されています。
理学療法士がDMAT隊員になる際には業務調整員の役割が与えられるそうです。
業務調整員としての役割は主に、DMAT活動に関わる移動手段、医薬品、生活手段、
通信手段の確保、関係者との連絡・調整等を行うとのことです。

ーへぇ~、そうなのですね!

また、DMATとは別の組織でJRAT(Japan Rehabilitation Assistance Team)というものがあります。
これは東日本大震災を契機に発足した組織で、
理学療法士をはじめリハビリテーションに関わる専門職種・協会などが関わっています。
DMATが主に災害発生直後から支援を行うもので、
JRATは亜急性期(*1)から慢性期の活動が主体となります。
その中でも理学療法士は、避難所における共同空間の環境整備や個別空間における生活上の動作助言など、
「生活不活発病」(*2)に対する支援が主な活動となります。

これまでの大規模災害での理学療法士の関わりが、
日本理学療法士協会のホームページで紹介されています。
平成23年の東日本大震災、平成28年の熊本地震、平成30年の大阪北部地震、
平成30年台風7号及び前線等に伴う大雨による災害の際の報告です。
興味のある方は一度ご覧ください。
http://www.japanpt.or.jp/general/disasterrelief/list/


*1 生活不活発病
生活不活発病とは、災害時などに仮設住宅居住者の閉じこもりのことをさします。
まさに、「"生活"が"不活発"」になることで全身の機能が低下してしまう状態のことです。

*2 亜急性期
急性期を経過後に引き続き入院医療を要する状態のことをさします。
重装備な急性期入院医療までは必要としませんが、
在宅や介護施設等において症状の急性増悪した状態の患者様に医療を提供する役割を担います。



ー災害発生時や事故などの際、重症度を決定する「トリアージ」がありますが、
リハビリにもそういったものはあるのですか?

DMATでは業務調整員の役割を担っていると先ほど述べましたが、
理学療法士は他職種の業務調整員(事務職・薬剤師・診療放射線技師・臨床検査技師など)に比べ、
日常の臨床業務で患者様と接する機会が多いため(重症の患者様など)、
医師や看護師に傷病者の状態を適切かつ速やかに伝えることができる可能性があるといわれています。
特にトリアージを行う際においては情報の伝達等を担うことが考えられます。
ここでいう情報とは、傷病者の外傷部位、意識、呼吸数、血圧等の推移、移動ができるかの可否などです。

リハビリテーションにおけるトリアージは、
先ほどお話したJRATの第一便が初動対応として行うことが明記されています。
この第1便はDRAT(Disaster Acute Rehabilitation Team)とも呼ばれていて、
DMATとともに動き、リハトリアージやリハビリニーズの集約、情報収集などを担っています。
活動期間は発災から72時間~10日程度とされています。
この後、リハビリテーション支援としては、「応急修復期(発災から1か月末まで)」、
「復旧期(発災から2か月目より6か月)」、「復興期(発災から6か月以降)」にわかれて
その時期に応じた支援が実施されています。

―ありがとうございます。


参考文献:
「理学療法科学32 (5):745–748,2017」 岡村 正嗣 et al
「日本理学療法士協会ホームページ」
「大規模災害リハビリテーション対応マニュアル」東日本大震災リハビリテーション支援関連10団体「大規模災害リハビリテーション対応マニュアル」作成ワーキンググループ
「日本におけるリハビリテーション災害支援システムの現状と流れ」 三浦 和 et al