三重県認可の専門学校 厚生労働大臣指定の養成施設

伊勢リハ☆ブログ

脚の歪み

体のことを聞きました
あけましておめでとうございます。
旧年中は当ブログのご愛読ありがとうございました。
本年もよろしくお願いいたします。

さて、前回は首から上の歪みについてお話をうかがったので、今回は脚について教えていただきたいと思います。
答えてくださったのは体シリーズ初登場の熊谷先生です。


ーO脚やX脚というのも歪みのひとつですよね?気になる人は多いと思います。判断基準はありますか?

そうですね。脚の歪み(変形)の1つです。自分の脚がどういう状態か気になる方もいるかと思います。

判断基準としては、脚のアライメントを評価します。
アライメントとは、骨・関節の配列のことで、O脚・X脚を判断する場合は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の位置関係(角度)でみていきます。
この位置関係は、大腿骨と脛骨が成す角度のため大腿脛骨角といい、
臨床では、Femoro→大腿骨 Tibial→脛骨 Angle→角度の頭文字をとって、FTA(エフテイーエー)と呼ばれています。

自然に立っている姿勢で前方から評価して、正常では、175°程度の角度を成しています。これはつまり、正常の膝関節は………まっすぐではないんです!

ーええー!?そうなんですか?!

この5°程度の生理的な外反(太ももの骨に対してすねの骨が外を向く)があることで、
歩きやすかったり、踏ん張りやすかったりするんです。

FTAが大きくなった状態を内反膝(ないはんひざ=O脚)といい、両膝の場合、前方から見て立位で両膝の間に隙間ができます。
反対にFTAが小さくなった状態の膝を外反膝(がいはんひざ=X脚)といい、両脚の場合、前方から見て両足の内果(内くるぶし)の間に隙間ができます。


*クリックで拡大できます


ー脚の歪みの原因は何でしょう?

O脚・X脚になる原因は、様々あります。
主な原因としては、日常生活の姿勢や歩き方、脚の筋力低下、過去の怪我、遺伝などが関係しているといわれています。
例えば、内股で歩くクセなどがある場合、脚の骨が全体的に内側に向いてしまいますので、脚は、X脚になる可能性が高くなります。
あるいは、姿勢が猫背で骨盤が後傾(後ろに傾く)すると脚が外に開くため、O脚になりやすい傾向があります。
また、年齢を重ねるにつれて、膝の軟骨がすり減り、痛みや腫れ、
曲げ伸ばしの制限とともに膝の変形(O脚になることが多い)が起こる変形性膝関節症も原因の1つとして考えられます。


ーO脚、X脚による健康への影響というのはありますか?

アライメントの歪みは、運動効率を低下させてしまうため、筋肉や腱への負担が大きくなります。
従って、ランニングのような軽い運動でも、アライメントの異常があると、
同じ動作を繰り返し行うことによってストレスの積み重ねが生じ、傷害を引き起こすことがあります。

これを自転車に例えると、


*クリックで拡大できます

このようなことが身体の中で起こることになります。



続くその2(1月14日公開予定)では
それぞれの具体的な症状例やストレッチを紹介します。




参考文献:
「ぜんぶわかる筋肉・関節の動きとしくみ事典」 川島 敏生 著
「病気がみえるVol.11 運動器・整形外科」 MEDIC MEDIA
「変形性ひざ関節症の運動療法」 日本整形外科学会 患者向けパンフレット 
「The Journal of Clinical Physical Therapy VOL8,13-19,2005」 石井 慎一郎 著
「理学療法 24巻 6号 841-847,2007」 嶋田 誠一郎 著