三重県認可の専門学校 厚生労働大臣指定の養成施設

伊勢リハ☆ブログ

脱臼その2

体のことを聞きました
体シリーズ、脱臼の続きです。

ー肘や肩、股関節の脱臼は認知度が高いと思うのですが、どんな特徴があるのでしょうか?

脱臼の頻度としては、
1位:肩関節(前方脱臼)
2位:肘関節(後方脱臼)
3位:顎関節(前方脱臼)と言われています。
その他、肩鎖関節(肩と鎖骨の間)や股関節、指の関節も脱臼を生じることがあります。
今回は、最も頻度の多い肩関節の脱臼の特徴を説明します。


肩関節脱臼

<発症>
肩関節の脱臼は、外傷によるものが多いとされています。
ラグビー、アメフト、柔道などコンタクトスポーツに多く、前下方脱臼がほとんどです。
肩関節は一度脱臼を起こすと、その後は脱臼しやすくなります。
脱臼の回数を増すごとに軽微な外力で起こるようになり、
寝返りのような日常動作でも脱臼が起こることがあります。(反復性脱臼)

<病態>
肩関節は上腕骨と肩甲骨との間の関節です。
骨の接触する面積が少ないため動く範囲は大きいのですが、安定性としては低い関節となります。
不安定さを補うために関節の周囲を靱帯が支えています。
脱臼すると、多くの場合この靱帯が剥がれたり、切れたりしますので、不安定さを助長してしまうことになります。

<肩関節の構造>

*クリックで拡大


↑関節頭に対し関節窩(受け皿)が小さいため、
動く範囲は大きいですが関節としては不安定となります。




ー脱臼にはどのような治療がありますか?また、早く治療しないと関節を入れにくくなると聞いたことがありますが、なぜですか?

脱臼の治療の原則として、以下の事が挙げられます。

(1)整 復:徒手整復、牽引(介達牽引、直達牽引)、観血的整復(手術)
(2)固 定:外固定(三角巾、シーネ、ギプス包帯など)、創外固定、内固定(プレートや髄内釘)
(3)リハビリテーション:関節可動域訓練、筋力増強訓練など


整復や固定が遅くなると、軟部組織などが正常な位置から脱した状態が続くため、整復が難しくなることがあります。
また、整復や固定が不十分の場合、組織の回復やリハビリテーションの進捗に悪影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。

ーありがとうございます。


参考文献:
「病気がみえるVol.11 運動器・整形外科」 MEDIC MEDIA
「標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 整形外科学 第4版」 立野 勝彦・著
「PT・OT基礎から学ぶ運動学ノート 第2版」 中島 雅美・他 編
「反復性肩関節脱臼」 日本整形外科学会(スポーツ損傷シリーズ パンフレット) 
「膝蓋骨脱臼」 日本整形外科学会(スポーツ損傷シリーズ パンフレット)