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伊勢リハ☆ブログ

もう転倒なんてしない

体のことを聞きました
みなさん、こんにちは☆
ご無沙汰の体シリーズです。

9月から10月にかけて、運動会シーズン真っ盛りだと思います。
(最近は春に実施するところも多いようですが)

そこで今回は、大人のための運動会対策、
「もう転倒なんてしない」をお送りします♪

回答者は林先生です。

ー子どもの頃、運動会の保護者参加競技で、
毎年お約束にようにコケる大人がいるのが不思議でした。
「脚がもつれて…」と言いますが、どういうことなのですか?


脚がもつれるのもさまざまな状況が考えられますが、よくあるのがゴール直前になって、
「あと少し、もうすぐだ」と思った瞬間に、上体と気持ちだけが前に進み、
膝が上がらなくなり、足が前に出ず転倒してしまうのが多いのではないでしょうか。

ー俗にいう幽体離脱ですね(笑)

足が前に出ない原因もさまざまで、断定するのは難しいですが、今回は筋力低下について考えてみます。
リレーのように全力疾走するときには、筋肉も最大限に使う必要があります。
人間の最大筋収縮力のピークは、25歳前後にあり、以後ゆっくりと低下すると言われています。
大人がリレーのときに足が前に出なかったというのも、
年齢とともに低下する最大筋収縮力が関係していると思われます。

ー自分の感覚では、大腿四頭筋(太ももの前側)が衰えて脚が上がらない感じがします。

足が前に出ず転んでしまうのは、腸腰筋(ちょうようきん)の筋力低下によるものがあります。
腸腰筋が働くメカニズムと、効率の良い働かせ方は後ほど説明します。
これ以外の原因も考えられます。

ある実験で、自分の大股の一歩幅(何センチくらい?)を予想してもらい、
その後で実際の大股の一歩幅を測ったみたところ、
両者に差が大きい人ほど転倒しやすいということもわかっています。
自分が予想した大股の一歩幅と実際の大股の一歩幅のズレが小さく、
自分の体のことを頭で理解できることも重要です。

ーなんだか、現実を突きつけられる感じがします…。
短期間で成果を出せるような練習方法や意識すると良い部分などはありますか?


上手く走るには「腸腰筋」が効率よく働く必要があるといわれています。

腸腰筋は、図のように背骨から骨盤をまたいで、
太ももの内側についている「大腰筋」と骨盤から太ももの内側についている「腸骨筋」から構成(図1)されていて、
上半身と下半身をつなぐ筋肉です。

図1




腸腰筋は、脚を後ろから前に振り出すときに働く筋肉で、走る時に姿勢を保ち、前への推進力を得ることができます。
この腸腰筋を鍛えることで、最も簡単に走る技術を高めることができます。
例えば、立った状態で、片足を20㎝くらい上げると、
上げた方の太ももの付け根からへその下あたりが少し硬くなるのですが、このときに腸腰筋が鍛えられています。



次回は具体的な方法と注意点についてです!



<参考文献>
「大腰筋の筋横断面積と疾走能力及び歩行能力との関係」久野 譜也
「老年期障害 理学療法学テキスト」村田 伸 他
「基礎運動学」中村 隆一 他