三重県認可の専門学校 厚生労働大臣指定の養成施設

伊勢リハ☆ブログ

ストレッチングって?

体のことを聞きました

みなさんこんにちは♪
お待たせしました、体シリーズです!

前回の柔軟性のお話しにちなみ、今回は、その方法としてのストレッチについて伺いたいと思います。
では、櫻本先生お願いします!


―そもそもストレッチとは何でしょう?

広辞苑(第6班)によるとストレッチとは「①競技場などの直線の走路、②伸び縮みする布地・素材、③ストレッチングに同じ。」となっています。
リハビリテーションの分野やスポーツ競技等で実施するストレッチはストレッチングと表現されます。
それではストレッチングとは何でしょうか?ここでも広辞苑を引用したいと思います。
「全身の筋肉と関節を伸張する体操。スポーツのトレーニングと準備運動・健康増進のために行う」とされています。

―ウォーミングアップとして運動の前にストレッチングを行うのはわかるのですが、運動後のクールダウンでストレッチングを行うのはなぜですか?
した方が良いのですか?クールダウンそのものは必要だと思いますが、ストレッチングまで必要なのか?と以前から疑問に思っていまして…。


ストレッチングの種類は様々なものがあります。
ここでは一般的に行われているストレッチング(スタティックストレッチングといいますが以下ストレッチングとします)についてお答えします。
実はウォーミングアップとして運動前のストレッチングは最近、推奨されていません。
米国スポーツ医学会は、ACSM’s Resource Manual for Guidelines for Exercise Testing and Prescription(Lippincott Williams & Wilkins; 7版 2013.3.8)というガイドラインにおいて、
「運動前のスタティックストレッチングは行うべきではない」ということを提言しています。

―えーーーーっ!そうなのですか!?初めて知りました!

なぜだと思われますか?

―全く見当つきません。

その理由を話すと長くなってしまうので、今回はふせておきます。

―!!

クールダウンにおけるストレッチングに関しての研究はリカバリーの観点から検証されています。
ストレッチングをリカバリーの手段として利用しても瞬発力の指標である最大筋力、
垂直跳びならびに疲労困憊にいたるまでの運動継続時間などのパフォーマンスを改善させる効果は少ないといわれています。
しかし、痛みや疲労感の軽減には一定の効果をもたらす場合もあるといわれています。
ただし筋力を向上させるトレーニング後や筋痛が生じるようなスポーツ活動直後には、ストレッチングの実施はさけるべきだといわれています。
いずれにしてもクールダウンにおいてはストレッチング単独で実施するよりも他のリカバリー方法と組み合わせて実施することが望ましいと思われます。

ーでは、もしストレッチングを行う場合、運動前後で同じストレッチング法で良いのですか?

クールダウンのところで話しましたが、ストレッチングの種類にはさまざまなものがあります。
一般的に行われているストレッチングはスタティックストレッチングと呼ばれるもので
反動をつけずにゆっくりと筋を伸ばし、その肢位を数十秒間保持するものです。
対照的にダイナミックストレッチングとよばれるストレッチングは
動きの中で目的とする筋肉をストレッチングする方法です。
言葉でお伝えするのは限界がありますが、その効果はプロサッカー選手や女性アスリートを対象に
種々のパフォーマンスの向上が報告されています。
この他にもストレッチングの種類はさまざまなものがあり、目的に応じて使い分けられています。
さて、ご質問にあった運動前と運動後には同じストレッチング方法で良いのかというということですが、
同じストレッチング方法を使うときもあれば使い分けすることもあると思われます。
運動前に推奨されているのは前述のとおりダイナミックストレッチングです。
しかし、スポーツ現場においては怪我の予防とパフォーマンス向上が同時に求められます。
この目的を達成するには筋肉の状態が大きく関わってきます。
この筋肉の状態を評価し、目的にあったストレッチングをするのが理学療法士やアスレティックトレーナーの役目だといえます。

―そうですよね、「ウォーミングアップとして運動前のストレッチングは最近、推奨されていない」ということも
普通に生活していたらあまり知られていないのはないかと思います。
理学療法士になった後も、アンテナを張りめぐらせ、勉強し続けていかなければならないということですね。


では、次回に続きます!

参考文献:
「柔軟性の科学」 マイケル J オルター 著
「ストレッチングの科学」 鈴木重行 著
「リカバリーの科学」 長谷川 博 監訳
CURRRENT CONCEPTS IN MUSCLE STRETCHING FOR EXERCISE AND REHABILITATION. IJSPT.2012 Feb; Vol 7:109-119 Phil Page